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FPGAボードで学ぶ組込システム開発入門(Xilinx編)

FPGAボードで学ぶ組込システム開発入門(Xilinx編)が良い本だったので紹介します。
全体を通して丁寧にわかりやすく説明があり、一歩一歩動かしていくのにちょうどよい難易度になっています。また、代理店に聞かないと分からないような情報も書かれており、無償の開発ツールを使う人が陥りやすい罠も説明があります。FPGAを独学したいひとにおすすめします。

入門にちょうどよい内容

 最初に入手しやすいボード一覧が載っているのがうれしいです。XilinxだとAlteraのDE0のような定番が無いので、理由も添えていくつかボードが紹介してあります。そこからPlanAheadを使いながら、プロジェクトの作り方、簡単なエラーの対応方法、impactによるコンフィグレーションまで丁寧に説明してあります。
 各章の終わりに課題まであります。例えば3章の終わりには、10秒まで計測できるタイマーを60秒まで拡張する事が課題になっています。シミュレーションやシグナルタップ無しだと、意外に難しいと思います。

組込システムを作っていく過程が学べる。

 4章からは、PlanAheadの操作を説明しながら、MicroBlaze MCSシステムを作っていきます。ペリフェラルの作り方、C(ソフトウェア)からの呼び出し方が、わかりやすく説明されています。筆者が実際に遭遇したトラブルの対応方法も書かれており、有償のサポート契約を結んでいない人には助かる内容になっています。
 6章からはストップウォッチを例に、自作ペリフェラルの作り方の説明があります。特に有料のライセンスが無い場合の情報というのは、調べていくのが手間がかかるので、この部分だけでもずいぶん助かるはずです。

もちろん実践的な回路も

 7章からは、キーボード、マウス、VGAを接続していきます。VGAの所から、タイミングチャートも難しくなってきてぐっと難易度が上がります。VGAの出力が自由自在にできるようになると、自分が作った回路が動くところが画面で見てわかるので、できることがぐんと増えます。是非、マスターして欲しいところです。自分の作った回路がVGAモニターに表示される喜びは、一度は体験して欲しいです。
 最後はCMOSカメラを接続します。これで、画像の入出力が揃うので、リアルタイムな画像処理などもいろいろ楽しめます。

対象読者

 これからXilinxのボードを買ってFPGAをはじめたい人、Xilinxのボードが手元にあるけど何から初めて良いのかわからない人にお勧めです。合わせて、Verilogの文法と、簡単なシミュレーションのやり方がわかる本があると良いと思います。よりしっかりとハードウェアの方を勉強したい人にはFPGA入門がおすすめです。もう少しデジタル回路に近い説明と、シミュレータ(isim)の簡単な説明があるので、お互いにちょうど良い補完になります。