達人出版会からFPGAでCPUを作ろう〜FPGAで、あなたも自分がデザインしたコンピュータを動かせる〜が出版されました。長らくβ版でしたが、6月22日にようやくβが取れ、正式版になりました。
内容
現在比較的入手しやすいFPGAボードを使って、自作CPUを動かしていきます。回路記述にVerilog-HDLやVHDLでなくNSLを使うところが特徴的です。NSLの説明は、Overtone様のWebで読むことができます。きっちりCPUを作り込むというよりは、作っていく様子がよく分かるようになっています。著者がソフトウェア寄りの人なので、時々ふっと違う発想が出てきて面白いです。本文にSICPやプログラミング言語AWKが出てくるFPGA本は、この本だけです。
CPUの創りかたと比べて
CPUを作ってみよう!系の本では、CPUの創りかたが有名です。ざっくり比較するとこうなります。
FPGAでCPUを作ろう | CPUの創りかた | |
動作環境 | FPGA | TTL |
動作記述言語 | NSL | 無し |
著者のフィールド | ソフト寄り | ハード寄り |
CPU | 8bit | 4bit |
サンプルプログラム | 乗算 | ラーメンタイマー |
女の子 | 無し | 有り |
大きく分けると電子工作でCPUを動かすのがCPUの創りかた、工作は最小限にし既存のFPGAボードで動かすのがFPGAでCPUを作ろうになります。また、CPUの創りかたが4bit CPUに限定することで、非常にコンパクトにCPUの動きを説明しているのに対し、FPGAでCPUを作ろうは最初から8bitで将来の拡張がトピックとして上がっています。
この本の良いところ
FPGAの内部構造やFPGA用CADの詳細に踏み込まず、とにかく動くようにしていくという姿勢は良かったです。ここに入り込むといくらページがあっても足りないので、ばっさり切るのはしょうがないです。また最後の参考文献が圧巻で、名著がずらりと並んでいます。この本一冊では、なかなか完成度を上げるところや実用的な回路、ライブラリの作り方まで踏み込めないので、参考文献が充実しているのは良いです。
達人出版会の本の買い方
最後に、達人出版会の本について少し書きます。今回β版から購入し、いくつかフィードバックを返しました。フィードバックはほぼ全て反映されていました。フィードバックには、ここ表現おかしくないですか?といった正誤の指摘の他に、なんでこの構成にしたのか?と言った質問も含まれていましたが、正式版には疑問だったところの説明が追加されていて、いろいろと面白く読めました。お忙しい所、ご対応ありがとうございました。
達人出版会の本はまずβ版が出ますが、正式版になってから買おうというのは明らかに間違いです。まずβ版を買って、「なんでこうしたかわかんない」「ここの説明詳しく」と、分かりにくいところのフィードバックを返し、自分にとって都合の良い正式版に向かわせましょう。貴方が分からない所は、他の人もわからない可能性が高いです。「β版を買って、もっと知りたいところをフィードバックする」これが達人出版会流の買い方です。βの間にどんどんリクエスト投げましょう。
(達人出版会さんはβ版との差分が簡単にみれるようにして欲しいな。ちらっちらっ)